税理士独立開業までの道のり

会計人コース2011年2月号(中央経済社)掲載記事「私の独立開業日誌」

経理の仕事って面白い

「今まで外注していた部品を内製しようと思うんだけど、どう思う?」 「在庫を減らせ、というけれど、在庫が多いと何がいけないの?」 「新しい設備を導入しようと思うんだけど、経理的にはどうかな?」 大手メーカーの工場の経理部門で働いていた20歳代後半の頃、生産管理や製造部門から質問を受け、僅かながら持っている経理知識を総動員して相談に応じることにやりがいを感じていました。 経理の面白さに気付いた原体験です。

そうだ、税理士になろう!

次の異動を経て33歳となった頃、これからの人生について悩んでいました。 かつて学生時代に夢見たように、小さくても自分の会社を経営できないだろうか。現場に近いところで、経理知識を使って、人に喜ばれる仕事ができないだろうか。 ふと「経理コンサルタント」という仕事を思い付きました。経理の知識を使って、中小企業の経営改善をするコンサルタントの仕事ができないだろうか。 しかし、企業の経理部門で10年ほど働いた経験しかない人間が「コンサルタント」を名乗っても、誰も信頼してくれないだろう。どうすれば信頼してもらえるだろうか。 そうだ、税理士資格があれば、信頼してもらえるに違いない。税理士として中小企業の顧問になり、コンサルティング・サービスを提供しよう。 税理士になることを決めた瞬間でした。

1年目の失敗

消費税を勉強した1年目は税理士試験の厳しさが分かっていませんでした。理論は中途半端に週に1題覚えるのがやっと。計算の練習問題も前回の授業の範囲を解き終えないまま、次の授業を受けていました。予備校での成績は直前期になっても底辺を這い続け、当然ながら本試験でも不合格となりました。 不合格は当然の結果だったものの、1年目に費やした時間を無駄にしたくない、そんな思いで、2年目の簿記論からは真剣に勉強に取り組み始めました。

勉強時間の確保

会社勤めをしながらの受験勉強なので、勉強時間の捻出には工夫を凝らしました。 まずは朝晩の通勤時間。電車内だけではなく、歩いている間も理論の暗唱しました。 昼休みは理論の暗記をしながら一人で食事をして、食後は席に戻って計算問題の解き直しをしました。会社では朝の始業前や終業時間後の帰りづらい雰囲気の時間帯も勉強に充てていました。 プライベートの飲み会の誘いは8月を除き、全て断わりました。中には気を悪くする人もいました。税理士になる夢を説明しても理解してくれず、離れていった人もいましたが、結果的には私を本当に理解し、応援してくれる友人との交流が今も続いています。 職場の飲み会は、立場上どうしても断れない場合だけ一次会に限って参加して、帰宅後に勉強できるように酒量を抑えました。本試験直前に人事異動をしたことがありましたが、私自身の送別会や歓迎会を本試験後まで待ってもらいました。

楽しい受験勉強

飲みにも行かず、趣味のカヤックやスキーなども止めて受験勉強に打ち込みましたが、結果的には官報合格まで8年かかりました。 息抜きらしい息抜きもしないで8年間も受験生活を続けられた最大の理由は、目標とするイメージが明確だったからではないかと思います。 私の最終目標は「税理士試験の合格」ではありませんでした。経営者から頼りにされ、執筆や講演活動を行ない、そのために忙しく全国を飛び回る税理士。従業員も、お客様も、社会も、そして自分自身も幸せにする経理コンサルティング会社の社長。「妄想」と笑われそうですが、そんなイメージを常に抱いていました。 少しずつでも、何としても目標に近づき、実現したい。スポーツ選手は毎日のように過酷な練習を消化しますが、その先には目標とする新記録や優勝があるはずです。彼らと同様に、努力の先に大きな幸せがあると信じていたので、受験勉強は苦しいながらも、楽しむことができました。

脱サラの逡巡

税理士登録後に、税務の専門部署に異動しました。大企業ならではの複雑かつ多様な税務調整など、これまでの受験勉強で身に付けた知識をフルに活用しながら、税務の実務を身につけることができ、とても充実した毎日でした。 このまま税務部門でスペシャリストとして働くのも悪くない気がしました。安定した給料を貰い、充実した福利厚生を受け、安心して生活することができます。 しかし一方で、私が受験中に強く思い続けていた「経理コンサルタント」への夢は、単なる夢で終わることになります。 独立開業した後に生計は維持できるだろか。会社を辞めて周囲に迷惑を掛けてしまって良いのだろうか。私の受験勉強を寛大に見守り、私を育ててくれた会社に恩返しはできただろうか。様々な悩みが生じ、答えを出すことができずに逡巡しました。 そんなとき、妻がぽつりと私に聞きました。 「何のために8年間やっていたの?」 結婚と同時に受験勉強を始め、妻にはいろいろな我慢をしてもらい、支えてもらいました。妻と自分を裏切らないためにも、そして人生最期のときに後悔しないためにも、独立開業することを決心しました。

夢の実現を目指して

会計業界での経験が無いまま独立した私の弱点は、業界の常識が無いことです。しかし、多くの仲間が相談に乗って私を支えてくれます。税理士試験合格者の集まりである青年税理士連盟(青税)、TKC、そして税理士会の先輩や友人は、税務や会計についてのみならず、事務所経営についてもアドバイスしてくれます。もちろん、まだまだ努力し、勉強しなければならないことは膨大にありますが、仲間がいる限り何とかなりそうです。 会計業界での経験が無いということは、裏を返せば長い企業経理実務の経験を持つということです。企業内で管理会計の実務を20年近く経験した会計人はそれほど多くは無いのではないでしょうか。 企業の経営体質を改善し、強化するためには、財務会計や税務の知識を使って正しい会計帳簿を適時に作成し、管理会計をベースにPDCAというマネジメントサイクルを回す必要があります。税理士の受験勉強も管理会計の実務経験も、「経理コンサルタント」への夢を実現するために、無駄ではなかったように思います。 今、私はまた夢に向かって一歩ずつ進んでいます。限りある人生を充実したものにするために、努力するという点では、受験生の皆さんと同じ立場です。 ともに頑張りましょう。

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